カナダとEUの協定「CETA」が各地で反対されるわけ

カナダとEUの協定「CETA」が各地で反対されるわけ

CETAとは何か

カナダとEUがCETAを結びました。かなりニュースになっていますが、そもそも「CETA」とはどういうものなのでしょうか。「CETA」は、「Canada-EU Comprehensive Economic and Trade Agreement」の略称で、カナダとEUの包括的な経済貿易協定の意味です。
よく、日本で取りざたされているTPPと類似したものと思われていますが、CETAは明確にモノだけでなく知的財産権や投資にまで対象がサービスにまで広がっています。EU内でも、投資などは自由にできるようになっていますが、企業の設立など統合ができていないものもあるので、CETAはかなりその意味で先進的な協定です。

カナダでは歓迎ムードだけど・・・?

カナダでは、CETA締結に関して基本的にメリットがあるとマスメディアでは宣伝していました。というのも、アメリカよりも先に、EUと貿易に関する協定を結ぶことによって、輸出の面でカナダにメリットがあると考えられるためです。カナダは肉牛やブタの飼育が盛んで、ヨーロッパでは肉の消費量が多くて輸入に頼っています。また、涼しい気候を利用してカナダでは酪農も盛んです。チーズやバターなどもヨーロッパでは食事に欠かせないものです。
そこで大量に輸出できるとカナダ側は考えているのですが、実際は甘いものではないようです。EUでは共通農業政策を行っており、EU域内で農作物の価格を一定に保っています。つまりEU域内の農作物を保護しているわけです。もともとEU域内では関税がかからないので、仮にカナダ産の牛肉や乳製品が入ってきても、EUの人々に受け入れられる工夫が必要といえそうです。

それでもメリットは大きい

しかし、EU域内だけだった関税撤廃がカナダにも適用されることになり、農業はもちろん工業製品の輸出入で利益を上げることが期待されています。EU側も伝統的製品やイノベーションの保護を重視していますが、金融サービスの展開などでGDPを引き上げる計画という面もあります。カナダとEUにとって現行ではWin-Winの協定といえそうです。
しかも投資に関しては制限を設けないとしているので、投資家たちの意欲も損なわれておらず、活発な資金流入が今後起こる可能性があります。

おわりに

今、世界はさまざまな不安がつきまとっています。そのため、国家レベルでも結びつきを強めて経済的な危機をのり切ろうとする動きが活発です。CETAやTPPといった協定はその手段の一つ。今後もこうした経済的協力体制を築くための協定は活発に結ばれていくことでしょう。日本もその波に乗り遅れないようにしないといけないのかもしれません。

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