EUってそもそもなんだっけ?どんな国が加入してる?

EUの基礎知識
EUとは、ヨーロッパ連合(European Union)のことです。
1992年にオランダのマーストリヒトと呼ばれる都市で欧州連合条約が結ばれて1993年に発足しています。
歴史的には、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)・欧州経済共同体(EEC)・欧州原子力共同体(Euratom)がまとまって、1967年に発足した欧州諸共同体(EC)が母体です。
将来的には政治的な統合まで目指していますが、ひとまず経済的発展を軸に、市場統合が進んでいます。
最初は6カ国のスタートでしたが、1973年にイギリス・アイルランド・デンマークが加盟して以来、広くヨーロッパに属する国々で構成され、加盟国は増え続けています。
1995年にオーストリアやフィンランド、スウェーデンが加盟したことで15カ国になりました。
そこから、2002年以降東ヨーロッパの国々の加盟が相次ぎ、2004年に中欧・東欧の国々が一気に10カ国加盟しています。2013年にクロアチアが加盟して、2016年現在、全部で28カ国加盟しています。
EU加盟国のメリット
市場統合が進んでいるため、経済的なメリットが大きいのが特徴です。人やモノやサービスの加盟国間の移動をスムーズにする制度が整ってきています。
例えば、2002年から始まった共通通貨ユーロの導入です。ただし、EU加盟国すべてが共通通貨を利用しているわけではなく、EU離脱が国民投票で決まったイギリスやスウェーデン等は参加していません。
また、EU域内であれば、大学卒業資格や弁護士などの資格も共通のため、どこでも仕事ができるメリットがあります。
シェンゲン協定によって加盟国の人間であれば、出入国審査が要らず往来も自由です。国境をまたいでも検査がないので、周遊旅行などもしやすく観光の促進にもつながっています。
人だけでなく、モノの輸出入に関しても検疫や通関が必要ないので、利便性が向上しています。関税も撤廃されているので、EU域内での貿易も活発です。
工業面では、東ヨーロッパの方に工場を作って部品を作らせ、先進国で組み立てだけを行うような協業も盛んになってきました。
農業面でも、EU域内での農作物の値段を調整しているため、どの地域であっても安定した価格で野菜を買うことができます。これまで野菜があまり育たず、輸入ばかりに頼っていた国にとってはメリットが大きいといえます。
EU加盟国のデメリット
しかし、メリットが生まれたと同時に、問題も起こっています。
一番大きな問題は、西ヨーロッパの先進国と東ヨーロッパの後進国との経済格差が大きいことです。
その国の人々が一年間でどれだけ稼いでいるかを示すGNI(=国民総所得)の値でいえば、西と東で最大10倍以上の差があります。従って、東ヨーロッパの人たちは仕事を求めて西ヨーロッパに出稼ぎに出ます。
EU発足当時ならば、安い労働力を調達できることもあり、東ヨーロッパからの移民は歓迎されていました。
しかし、ドイツやフランスといった大国の経済が悪化すると、現地の人の仕事も奪われてしまい、多くの失業者を生み出すことになりました。移民だけでなく、多くの若者が職を追われることになり、結果として先進国の治安も悪化しています。
その上、現在はシリアからの難民を受け入れており、先進国の税金が難民の生活費等に使用されており、人々の不満が増大しているわけです。
おわりに
EUは、アメリカやロシアといった大国に対抗するために作られた共同体です。メリットも大きい分、デメリットも存在しています。
特に、現在はどこの国も経済的に停滞しているため、財政危機がヨーロッパ各地で起こっている状態です。
失業者問題からは、ホームレスやストリートチルドレンの問題も浮上しています。各国政府は、さまざまな問題に対して外国人の受け入れを抑制するなど対応に迫られています。