イギリスの離脱宣言!ポンドと経済はどうなった?

イギリスのEU離脱問題とは
2016年6月に、イギリスで国民投票が起こりました。投票内容は、「EUに残留するか、離脱するか」。結果として、マスメディアの予想なども覆し、離脱することが決定してしまいました。
今現在は、新しく首相となったメイ首相の下、EU本部との離脱に関わる手続きが進んでいます。もともと、難民や移民の受け入れの問題があり、税金負担の不満も高まってしまったため離脱を選択する人が多かったと考えられます。
治安が悪化すること以外にも、イギリス人にとっては異文化が入ってくることによって、自国の文化が喪失する危険性を感じたともいえます。よくニュースでも取り上げられていますが、職業や移動の自由を謳歌する若者たちは、この決定に不満を強く抱いています。それは若者よりも人数が多い中高年層によって離脱が支持されたことを物語っているからです。
離脱決定後のポンドとイギリス経済の動き
EU離脱は正式に決定するのは、早くとも2年後と言われています。そして、国民投票で離脱派が上回ってから、イギリスのポンドにも影響がありました。「ロンドン証券取引所」は世界の金融をひっぱる金融セクターで、EUの共通通貨であるユーロとは一線を画してきました。
ただ、EU離脱派が上回ったとニュースが走ってから、ポンドは急落しました。発表タイミングが予想よりも早かったため、発表直後より翌日の方が急落に拍車をかけました。ポンドが急落するのは、1985年以来31年ぶりです。ポンドが急落したのはもちろん、ポンドを売る人が急増したためであり、ポンド売りの後に、余ったお金は安全資産に流れていきます。
このため、ポンド急落の後に円が高騰し、対ドルでも円が99円台になる事態になりました。ポンドが安くなり、相対的に円が高くなったため、日本人をはじめとしてイギリス旅行に出かける人が増えました。そこで、イギリス経済的には観光業が盛り上がり、表面的には問題がないように見えています。EUからの離脱は決まりましたが、ロンドンが金融セクターでなくなったわけではなく、漁業や農業に関しても現在のところEUからの補助金が続いています。その点では、今のところ大きな動きはないといえます。
イギリス&世界経済の今後
しかしながら、EU離脱が本格化すればイギリス経済にも影響が出てくるはずです。EUから離脱すれば、関税撤廃も白紙に戻り、イギリスは輸出入に際して税金がかかるようになります。他国のものが高くなり、自国のものも売りにくくなるとなれば、購買力も落ちることになります。
そもそも、ポンドが売られているのですから、ポンドの信用も下がっている状態です。イギリスという国への信頼も揺らいでいます。EU離脱が決定してから本社を移動させる国まで出てきている始末です。産業の力が落ちれば不景気になるのは必須。イギリス経済が悪化すれば、やがてそれが世界にも及びます。日本でいえば、円高の要因になるでしょうし、そうなれば日本の輸出企業が大打撃を受けます。イギリスに支社を持つ企業も900社を超えているので、イギリスの不景気の煽りを日本経済が受けることもありえます。
おわりに
もし本当にEUからイギリスが離脱することになれば、EUとしては最初の事例となります。
EU側もこれまでEUの財源をイギリスに投資していますが、引き上げる可能性も高まるでしょう。関税が復活するとなれば、EUもイギリスへの制裁として大幅な関税をかけることが予想されます。
また、イギリスが離脱するとなれば、他のヨーロッパ諸国も離脱を選択する可能性が高まり、EUとしての市場統合が失敗に終わるかもしれません。最悪の事態、世界的な経済危機が起こる可能性もあり、今後の展開を注意深く見ていく必要があるといえるでしょう。